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Vol.18 「湘南自治会」

2021年10月9日、湘南自治会にオンラインでお話を伺いました。

―――団体構成について教えてください。


市川:湘南自治会の会員は全員自治研究部会に所属します。ここでどのような自治を行っていくかといった哲学的な議論をします。その会員のうち希望した者が事務局員になることができます。事務局は様々な事務を担当し、広報・財務・書記・総務の4局に分かれています。局によってはさらに細かい分類があり、総務局の中には渉外や企画などがあります。意思決定は執行委員会が行います。執行委員会は各局長と事務局定例会議長の5名で構成されています。日常的な意思決定はそこで行われ、その責任を取ります。企画を行う際にはプロジェクトチームを作成したり、外部の方と連携する場合は特別委員会を作ります。


―――日常的にどのような活動をしていますか。


市川:週1回定例会があります。自治研究部会の方では11月に開かれるSFC生総会に向けて議論をしています。それ以外の時期はそれぞれのテーマに沿った議論が主体となります。事務局が行っている定例会の方では進捗の報告や事務上必要な意思決定を行っています。

この事務局の定例会は湘南自治会が行う様々な事業を話し合うので議題は多岐にわたることが多くなっています。日常的に行っていることは分かりやすい形だとこうなります。定例会以外でも様々なイベント等の準備や、事務的な作業もしています。


―――今力を入れている活動などはありますか。


市川:今団体全体で最も大きなテーマとなっているのは11月に開かれる予定であるSFC生総会に向けた準備です。SFC生総会というのはSFC生全員に参加権のある、湘南自治会の最高意思決定としての機能を有する場です。湘南自治会ではこれをただ投票するだけではなく、自治について考えたり、SFCについて考える機会にしたいと思い準備を進めています。


他に現在行っている企画として、先ほど説明した特別委員会の一つとして設置されている「ジェンダー平等特別委員会」の活動を挙げたいと思います。ジェンダー平等を実現するための委員会で、様々な活動や企画を行っています。

事務局:特別委員会と自治会は別の組織なのでしょうか。


市川:あくまで自治会の中ではあるのですが、この特別委員会では自治会外の方が参加できるという点に特色があると考えています。

事務局:今具体的にこういう活動をしたいなど決まっていることはありますか。

市川:キャンパスでの生理用品の配布という企画を進めています。

―――SNSを活用されている湘南自治会ですが、団体として広報する上で大切にしていることはありますか。


市川:重要にしていることは、多くの人に見てもらうということ、有益であること、質の高い情報を提供することです。目にとまらなければ意味がないので、画像を作成するなど工夫をしています。また、役に立つ情報という観点で、例えば履修の話などを簡潔にまとめて発信しています。

最近では英語の補足も加えるようにしています。特に履修関連の情報を流すときには誤りがないように文面などを作成しています。


成田:同時に自治会はすべてのSFC生のために作ったので、SFC生がたまにTwitterでSFCに対しての思いをつぶやきとして投稿したりするのですが、そのような意見を拾い上げて、みんなでSFCを作っているということを体験してもらうことを意識しています。こちらが発信するだけではなく、双方向性を大切にしています。


―――全塾協議会に加盟した理由や経緯などを教えてください。


松浦:19年の秋頃にかけてSFCに自治会がないという話と、当時の塾生代表が秘書を任命して、SFCに自治会費をより多く分配するスキームとしての自治会が求められているかどうかが調査されていました。ここが最初にSFCの自治会と全塾協議会に接点が生まれた場所だと考えています。


その後の代表選で後藤さんが塾生代表になり、2020年1月11日に事務局長の岩舘さん、後藤さん、私と準備会の石井で日吉の塾生会館でどうやって作ろうかという話をしました。その当時はサークル連合として設立して、後々代表を公選するなどして民主的な自治会を名乗るようにしようといったデザインを考えていました。塾生代表の調査と、当時準備会は未公認団体だったので、立場上事務室にも融通が利くということで、ある種信用の傘を借りるということもあり、全塾協議会と接触を図って最初の動きを始めました。


全塾協議会への加盟も予定していました。というのもSFC学部生は4000人程度で、拠出される自治会費は320万円程度です。それに対して当時還元されていたのは秋祭の80万程度というのが言われていました。これらを還元できる組織が必要だと設立当初は考えていました。しかし、できあがったばかりの団体であるため、仮加盟という仕組みを作ってもらって財務の経験を積みながら加盟していくという道を作ってもらいました。コロナの影響もあり、新規事業助成制度を沢山活用してSFCに還元していき、財務実績を作っていくということができなくなってしまったのですが、七夕祭で新規事業助成制度を利用させていただきました。


2020年度秋新歓なども試みたりしていました。コロナの影響によって対面でのコミュニケーションが厳しく制限され、共に活動していくうえで重要となる信頼関係の構築が難しくなったことを受けて、当初予定していたサークル連合、という形を取ることが厳しくなってしまいました。代わりに、全塾協議会の選挙管理委員会にご協力いただいて承認投票を行い、公共性を示すことにより正加盟をするという方針を提案しました。


事務局:ありがとうございます。全塾協議会に加盟した理由などをお聞かせください。

松浦:簡潔に言ってしまえば、SFC生にとって払い損と言われてしまっていた自治会費を還元する組織となる必要があり、SFCで自治会を名乗るためにはその役割を負わない訳にはいかなく、そのためには全塾協議会に加盟する必要がありました。

そして、準備会から自治会になるにあたって、当然0から1になるのは難しく、差し当たっては既存の1に協力してもらう必要があるよね、ということで全協さんにご協力いただいて進めていくという選択をしました。1月のその時の話し合いだと岩舘さんもSFCに還元できる組織がないのは全塾協議会を名乗っている以上問題だと感じているとおっしゃっていて、我々との考えが一致していました。


また、学生自治というものの本旨を考えた時に、全塾協議会は基本的にお金を分配することで学生の福利厚生を担おうというところで、そういった枠組みが存在して役に立っているという事実は大変重要なことで、SFCもその枠組みに加われば、学生自治の隆盛になり、等しく意義のあることだと考えています。


―――今年の新歓はどのくらい新入生が来ましたか。


成田:参加者自体は150人くらいで、実際に入った人は40人くらいです。


事務局:それは1年生と2年生ですか?それとも1年生だけですか?


松浦:1・2年生ですね。


事務局:結構集まりましたね。


成田:それはそうなのですが、新歓を精力的に担当した者としては、どの団体も新歓さえすれば人は入ると思っています。うちの団体が魅力的であろうとなかろうとです。新歓がちゃんと盛り上がって大学生として華々しい生活を提供すれば人は入ると思っています。そういう点でオンラインでの新歓は非常にやりにくかったんですけど諦めないで頑張ったから入ったのではないでしょうか。重要なのは何人残ったかなのかもしれません。


―――市川さんや成田さんはいつ頃参加されましたか。


松浦:成田は実は最初からいました。時々放牧されに行ってました。忙しくなったりで度々活動を離れてはいたのですが、準備会を立ち上げる前に自治会がいるよねという話をした初期のメンバーでもあるくらいには昔からいます。市川は20年度の新歓、去年の新歓で入った2名のうちの1人です。


―――市川さんはなぜ準備会に入ろうと思ったのですか。


市川:もとから学生の自治に関心があったのは最大の理由ですね。中高でも生徒会活動にかなり力を注いでいたので、中高の生徒に比べて大学の学生は権利あるいは義務責任も含めてより大きなものがあると思っていて、その中で大学での学生自治を行うのに関心を持ったのが1点です。


あと1点はこの湘南自治会準備会というのができて非常に間もなかったということですね。新しい組織だからこそ今までの学生自治の枠にとらわれない面白い取り組みができるのではないかと期待して新歓の扉を叩いたという話になります。


―――団体内での現状の課題や気になっていることなどはありますか。


市川:やる事務の量に対して明らかに人手が足りていないというのが最も大きな課題かなと思っています。自治会に関するあたりから徐々に取り組むもの、特に企画などが多くなっているのにもかかわらず増えた業務量に耐えるほどには実働のメンバーが増えていないのでまずこれが非常に重要な課題だと思っています。来年度の新歓が上手くいくという確証はどこにもないわけですし、自治会としての機能を維持するためにはきちんと人員を確保するというのは最も直近の重要な課題であるかなと思います。


相澤:先ほどの市川さんの話と似てくるのですが人が足りていないのに人がいるという組織体制になっているというのはまずいのではないのかなと思ったりはしていますね。人が絶対に必要というか、ちゃんとしたプロセスを踏むのであれば絶対にそこは欠かせないんですけど、明らかに人が足りない状況で「やっています!」というのは少し違うのではないのかなと思います。


成田:自治として気になっている点は沢山あります。最大の問題点はSFC生に知られていないということ、本当にSFCの自治会なんですかね?という問題点ではないでしょうか。やはり実質的にすべての院生も含めたSFC生を支えたいという思いがある中で、この間の承認投票では4.6%でした。SFCとの自治会と言いつつ看護医療学部の学生を置き去りにしてしまっている感があります。しかし、生理用品のアンケートを採ったときは回答率が結構高く、非常に嬉しかったです。どんどん自治会を利用していってもらいたいですし、そのためにいろいろなスキームを作って誰でも関われるように頑張っているので、まずは自治会のことをもっと知ってほしいですね。


成田:キャンパスに生理用品の装置が置いてあったり、キャンパスのカリキュラムが変わったら、自治会の存在を実感できると思います。私の中の自治会のコンセプトは体験する自治です。生徒会とかどうでもいいじゃん、と思ってしまう人が多いと思うのですが、それはやっぱりこの人生で一度も生徒会が私を救ってくれたことなどなかったということに起因するのではないかと思います。国の政治とかも一緒だと思います。でも一度でも救ってもらえるだとか、自分が社会を変えていけるんだという意識、SFC生には世の中を変えていくという使命があるわけですが、この意識があれば、この経験があれば、これからは社会と関わっていけるのかな期待しています。


松浦:私は大分時間との戦いだったので、というのも学部4年って足りないですよね。全然足りなくて、様々な仕組みを準備会を作るときから作っているのですが、例えば今団体のメンバーは自治研究部会のメンバーで、その中で仕事もやりたいし時間もあるという人は事務局員というような仕組みにして、要は仕事をする集団だけではなくて哲学的考証を行う団体を母体とする設計にしました。この仕組みもそれが入り用だからと思ってやった訳ではあるのですが。


仕事って強いんですよね。仕事があると基本的に仕事の都合が明確じゃないですか。何時までにこれを達成しなければいけなくてそのためにはこれとこれが必要でこの人を動員する必要があって、と行うことが明確なのでその分優先されやすいんですよ。というのに対して哲学的考証とか正当性をどうやって担保するかといった話は答えがないので、ともすれば利益がないようにも感じられるんです。

つまり考えているだけで結論がでないので、結論が出ないので考えても無駄だという感覚を事務局と一緒にやりはじめるとどうしても持ってしまうんですよね。


というようなこともあり、自治研究部会は実際に存在しているし週1の定例会も事務局の定例会とは別途で行っているのですが私が当初期待して設計したほどの機能は持っていないですね。残念ながら実質第二事務局定例会となってしまうこともありました。うまくいかなかったものが残っているので、残りの任期でどれだけやろうとしてうまくいかなかったものに片をつけて渡すなり新たなものを考えてもらうなりしたいなとは思っています。これは例えば当初のサークル連合といったようなものも同じです。


20年の5月に1度呼び掛けこそしたのですが、当時は団体側もてんやわんやで、私という存在も知られていなかったし、ましては湘南自治会準備会なんてというところで全然上手くいかないままほったらかされてしまっている状態です。

一方承認投票の前段階で当時の四谷自治会会長の保住さんからも指摘された通りステークホルダーの拡大にあたって学生団体は不可欠なので、その辺のところが置き去りになってしまっているのはどう考えてもまずいので私のいる間にある程度目算が立てられている状態にしたいと思っています。


―――自治会としての方向性などはどのように決めていますか。


市川:湘南自治会の重んじているところとして対話というある種のキーワードがあるのですが、意思決定を行うときはある種意見を出し合って、自治会の中で対話をした上でどういったことをするのかを決めています。現実問題として常にできているかというと少し疑わしいところとかもあるので、今後の課題としてより透明な形での意思決定や対話が必要になってくると思っています。


松浦:集団指導体制、執行委員5人による合意で意思決定をしてきました。これは準備会を作った当初からそうで、一人のリーダーを設けないというのは意思決定の多様性を反映するとともに一人に責任を負わせないという部分もあります。


それよりも中核にあるのは勝手に代表面をしないということかなと思っています。できたばっかというところもあり知られていないのですが自治会を名乗る以上ある程度学生を代表している性質は免れないと思っています。という事実を鑑みたときにどうやったら様々な思想を持ったSFC生を反映できるかと考えたときに少なくとも1人で決めているようではできないよねとういうことで執行委員5人の合意性を取っています。

全協の代表者など必要上仕方のない時は便宜的にそのうちの誰かを登録するというスタイルを取っています。正直なところ不十分だとは思っています。


現状の執行委員は各局長と議長であり、基本的に職業人間なのでどちらかというと職業ありきでものを考える傾向が当然出てきます。どれだけ哲学的に崇高な理念だとしても職務上不可能なものに目が向かなくなってしまいます。執行委員の選出方法が仕組み上局長に依存している以上は避けられない部分であるので改善の余地かなと思っています。

そのうち執行委員を公選する時期がくるとは思っています。そうなったときに事務方の事情はどのように勘案されていくのかなど、未来は見えないですねといった感情を抱いております。


―――塾生の方に向けて伝えたいことはありますか。


市川:まだまだ湘南自治会は新しい組織ですが、それ故に今後大きな可能性を持っていると私自身は思っています。ぜひ塾生の皆さんにはSFC生でなくとも湘南自治会の活動に関心を持っていただいて、何らかの形で関わってくださると嬉しいと思っております。


松浦:多くの人にとって全塾協議会や所属団体との関わりはたかが750円だと思うのですが、それでも750円です。本当は塾生の手の届くところで動かせるのに、その意思決定を放り投げてしまっているのではないかという意識を常に塾生に問いかけていくべきだと思っています。例えば自治会費が1万円だったら、より塾生の生活を便利にできる反面負担も大きくなります。

このようなことを考えたことはありますか?と常々思っています。どこかで関わりを持っていながら関心を持たないのはある種不思議ですよね。自治会費を通して与えられた権利を無駄にしないで欲しいとは思います。権利は制限しようと思えばいくらでも制限できてしまうものですので、制限されないためにもどうやったら活用できるかということを頭の片隅に置いて欲しいと思います。


成田:自治会で規則などを作ったのですが、私たちはSFC生や塾生のことを縛るために作ったわけではないのです。みなさん大学生は自由だと思うんです。活気あふれて自由奔放な大学生の自由なところをもっと自由にするため、もっと楽しくするために作りました。一緒にやっていきましょう、ということです。


自分が不条理だなと思っていることは、実際には自分自身が悪いんじゃなくて社会が歪んでいたり制度がちょっと悪かったりなどそういったことに起因することが多いと思います。マイノリティーのことを考えるとわかりやすい事だとは思うのですが。もうちょっと自由にいきたいなとかちょっと困ってるんだよねということをいくらでも勇気をもって声に出してほしいと思います。声に出すことは勇気がいることです、そのことに対していくらでも私たちは応援します。湘南自治会は塾生のことを大切にします。だからいくらでも応援します。一緒に自由に楽しく生きていきましょう。


相澤:伝えたいこと、というと表現が違うかもしれませんが、「一方的に自治やってます、みんなもやりませんか」ではなく、自分たちが所属している団体に関わることは自分たちで決めませんか、というあくまで根本的な疑問を提起していると思っています。自分たちで決める、ということをごく自然なこととしてできたら嬉しいと考えています。それが根底にあることを信じて、一緒に作り上げていきませんか、ということを伝えたいです。



 

湘南自治会Twitter:https://twitter.com/SFCUNION

湘南自治会WEBサイト:https://union.sfc.keio.ac.jp/

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