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Vol.19 「山田塾生代表」

2023年1月18日、第7代塾生代表の山田健太さん(以下敬称略)にオンラインでお話を伺いました。


自己紹介


―――自己紹介をお願いします。


慶應義塾大学総合政策学部3年の山田健太と申します。2021年、2022年の2期にわたり塾生代表を務めさせていただいております。その他いくつかの学生団体でも代表を務めさせていただいております。

自身の研究分野は、サーバを中心とするインターネット系と危機管理となっています。そこで得た知見を業務に生かしていきたいと考えています。



塾生代表の仕事とは


―――塾生代表が何をしているか知らない塾生も多いと思います。ぜひ教えてください。


塾生代表の一番の仕事はシンプルに「皆さんの先頭を歩くこと」だと思っております。全塾協議会はいろいろな団体がいらっしゃって、それをもってして塾生の福利厚生をなしていくことになっております。約28000人の塾生たちにそれぞれの見解があり、同じ方向を向いているわけではない。だからこそ、「こちらの方向で頑張っていこう」と、皆に同じ方向を向いてもらうよう呼び掛けるのが塾生代表の務めだと考えています。


選挙で選ばれたものとして、有権者の皆さんに福利厚生を還元していくことが当然にはなりますが、それ以外で申し上げますと、唯一重い義務と権利を有しているものだと思っております。全塾生を対象としている人は全塾協議会内外で塾生代表1人しかいない。重大で強く重い責任がある役職です。その権限と責任を踏まえたうえで、全塾生の先頭に立っていくことが責務であると思っております。



塾生代表になろうとした最初のきっかけ


―――2021年にはじめて塾生代表に当選されておりますが、なぜ塾生代表になろうと思ったのでしょうか。立候補されたきっかけを教えてください。


当然に新型コロナウイルスの影響が大きかったです。2020年から2021年にかけて、様々な状況が一変した。多くの大学では正課活動を維持するのが精一杯で、課外活動を中心にほとんどが機能不全に陥ってしまったと思います。「そんな中でもできることがあるのではないか」「専攻のデジタルを使用すれば、多少なりは現状を改善できるのではないか」と考えました。


当時の七夕祭においては、フルオンライン文化祭の責任者に。運営側も全員家から、お客さんも全員家からの参加ではありましたが、非常に手ごたえがありました。

「今までできていたことができなくなったから、ここでおしまい」ではなく、「今できること」をしっかりとやっていくことが重要なのではないか、そしてこれを義塾のために広めていきたい、と思い立候補しました。



今回の立候補について


―――2023年で史上初の3期目となる塾生代表。なぜ3期目に挑戦しようと考えたのでしょうか。


一番は未来につなげていくためです。2021年から2年間、全塾協議会は塾生にとって身近な存在にできたのではないかと思います。所属団体という括りだけではなく、よりフレキシブルに、そして塾生が困っていることについて、もっと積極的に大学に交渉することができてきているのではないかと思います。

大学生はあくまでも大学内の学生。大学から言われたことに対して反発しにくいのが現状です。大学側も検討しやすい方向にもっていくこと、これこそが塾生自治の根幹であると考えています。塾生自治の本来の在り方を、未来につなげて育生していきたい。しかし現状はなかなか難しい。これを強化するために、第7代塾生代表になろうと考えた次第であります。



今後の目標、今後やりたいこと(公約について)


―――当選した今、第7代塾生代表としてどのようなことを実施したいと考えていますか。


全塾協議会が塾生にとって身近であるために必要な政策を実行していきたいです。そのためには身を切っても改革を進めていきたいと考えております。


公約の一つ目は、財政で幅広く支援することです。

今までは所属団体に塾生からの自治会費を割り振るという形でした。しかし、ものによってはピンポイントな支出になってしまっている部分もありました。自治会費は1年間で一人750円。4年間通えば3000円となりますが、まったく恩恵を感じなかったと感じる人もいたでしょう。そのような人を少しでも減らしていきたい。4年間で「全塾協議会が支援してくれた」と感じてもらえるようにしていきたいと考えています。


二つ目については、声を拾っていくこと

塾生の声を拾って何らかの形にしていくという当たり前のことを、今後も着実にやっていく次第です。

多くの塾生が苦しまないように、性暴力対策ワークショップを拡充していく。

生理用品の無償配布を現在やっているが、実施回数が少ないのでもっと積極的にやっていく。

メディアセンターで貸し出しできるものを、全キャンパスで増やしていく。

このような塾生のひとりひとりの声をすべて拾い、実現していきたいと考えています。


またコロナ禍で明瞭化された問題だけでなく、それ以前にあった問題も解決していこうと考えています。


そこで三つ目が、議会制度や全塾協議会の制度を改革すること

根幹の部分とほぼ同じ表現になっておりますが、現行の全塾協議会及び議会の制度全般は正直塾生の声を拾って実現するという目的に対し、恒常的にそぐうものではないと考えています。塾生から選ばれているのは現在塾生代表のみ。議員も選ばれていないのが現状です。そのため、塾生代表マターとしないとむしろ民主主義的ではなくなってしまうことが多いと思います。ただ、1人にすべてを集中していることについて、皆さんはどう思うでしょうか。


私は「全塾協議会のおかげで自分たちのキャンパスライフが良くなった」と少しでも思ってもらえるような活動をしていきたいです。第7代塾生代表としての1年間は、全塾協議会が塾生にとって身近であるために必要な政策を断行していきたいと考えています。そのためには、冒頭にも申し上げた通り、身を切って、もっとわかりやすく言うならば私の権限を削ってでも、権限の均衡を図る改革を進めていきたいと考えています。



「思うことは発信してほしい」、塾生に伝えたいこと


―――第7代塾生代表として、塾生に対して何か伝えたいことはありますか。


塾生の皆さんにお伝えすることは「自分が思っていることを何らかの形で発信してほしい」ということですね。約28000人の塾生たちは意見をそれぞれ持っていると思います。

「言わなくて実現しなかった」と「言ったけど実現しなかった」ということには大きな違いがあると思います。

皆さんと一緒に慶應義塾大学を良い方向に持って行きたい。そのステップアップのためにも、何らかの形で全塾協議会に伝えてほしいと考えています。



塾生にとって、どんな存在を目指すか


―――3期連続ということで、引継ぎに対しても注目が集まっていると思います。塾生代表の交代に対してはどのように考えていますか。


大学というのは4年か6年で人が入れ替わる。人がこれだけ入れ替わる組織は面白いなと思います。


実は、私自身が皆さんの印象に残ってほしいとはあまり思っていません。もちろん、塾生代表が身近になっていないという課題としての見方もありますが、他方では、みんなが困っていなければ全塾協議会の仕事はないわけです。印象が強かったということは、プラスだけでなく、マイナスの問題があったと捉えることもできます。だからこそ、良い制度をきちんと残して、いつか歴史を紐解いた時に、「この時の塾生代表だった山田さんはこういう人だったんだ」と振り返ってもらえるようにしていきたいと思っています。


私は「塾生の強い味方」になることが理想です。大学との交渉というのは戦いの側面があります。毎度大学に負けて帰ってくる塾生代表では困りますよね。いろいろな意味で、塾生の理にかなわないことがあったら異を唱える。そのような意味で塾生の「強い」味方になりたい。塾生の意見を通せるだけのパワーを塾生代表として持っていたいと思います。



もう一つの専門分野「危機管理」はどう生かす?


―――自己紹介で「危機管理」も専門分野のひとつであると仰っていたと思います。塾生代表として、全塾協議会の「危機管理」について考えていることを教えて下さい。


全塾協議会は慶應義塾大学の塾生最高意志決定機関です。そのため、組織の危機管理はもちろん大事になってくると思っています。改革を進めていく中で、塾生にとっての公的機関という意味においては通常のサークルよりも強いガバナンスや透明度が求められます。普通のサークルにおいて塾生がトラブルを起こすのと、全塾協議会及び全塾協議会所属団体がやってはいけないことをやるのは大きな差がある。所属団体の長が、トラブルを起こさないようにしていくのが「危機管理」だと考えています。


―――全塾協議会として「危機管理」に関する施策はありますか。


所属団体の監督として、組織体制について団体に話しています。「今こういった問題があるのだとしたら、大きな問題が起きないようにこのような組織体制を」と助言していくことも「危機管理」のひとつであると私は考えています。


少々脱線しますが、私自身人事関連の仕事をやったこともあり、組織体制には強い関心があります。そこで得たビジネス・アカデミックな知見を生かして「全塾協議会」という組織をより良いものにしていきたいと考えています。いつ何時も完璧なものはありません。全塾協議会を構成している所属団体・議会を含めて、全体としてよりよい組織設計をしていきたいです。その上で、「危機管理」が重要になってくると考えています。


日本は非常に災害の多い国です。もちろん、災害が起きた際の対処についても重要ではありますが、これからはむしろ災害に強い日本社会を作っていくべきです。災害や危機に対する方策の重要性を、慶應義塾から提案していきたいと考えています。キャンパスで多くの時間を過ごす塾生にとって、快適かつ安心できるキャンパスを作るために、自らの知見を活かしていきたいです。



未来の全塾協議会のために


―――全塾協議会を未来へとつなげていくために、第7代塾生代表としてどんなことを考えますか。


これほど大規模に学生自治が残っている大学は我々慶應義塾大学ぐらいではないでしょうか。

残ってきた理由は2つあると考えています。

1つ目は先人の人たちが守ってくれたから。

2つ目は「半学半教」といった慶應義塾の信念に塾生自治が理にかなっているから。

教員であろうが塾生であろうが関わり合う中で隔たりはないのが慶應義塾大学の強みです。ただどうしても、教員は塾生よりも強い、という差があるのが現状です。それに対して、塾生から上に伝えるために「半学半教」の精神は理にかなっていると考えています。塾生自治という制度は非常に素晴らしいと考えているので、未来へのバトンをつながなければならないと強く確信しています。


未来へ続けていく上での問題点として、福利厚生というのが弱まってきていることも挙げられます。近年は様々なものが発達して、お金のもらえるバイトや有休のインターンのほうが自分にとっていいだろうと考えられるようになってきました。以前は集団の中のアイデンティティが重要視されていましたが、時代の変遷に連れて、この集団でのアイデンティティが弱ってきていると感じます。しかし、福利厚生がなくなるのは想像以上に問題があります。


学生にとって自助共助できるのはこの塾生自治のシステムで、新たに作成するのはとてつもない労力がかかります。未来につなげていくために全塾協議会を強化していきたいです。

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